戸籍にまつわるお話

 何らかの公的手続きを行う場合,戸籍謄本の提出を求められることがあります。

 戸籍といえば,家族や本籍地が記載されている書類,ということは多くの方が知っていると思いますが,戸籍とはそもそも何のために作られたものなのでしょうか。
 

 実は,現在の戸籍制度は明治時代に始まりました。
 当時の明治政府が,国内の総人口を把握するために戸籍制度を創設したのです。
 
 戸籍に記載される事項は,出生・親子関係・養子関係・婚姻・離婚・死亡等です。
 つまり,その人の生存や死亡,家族関係などが分かるようになっています。

 そのため,一族の戸籍を全て集めれば,明治以降に生まれた一族全員の家系図を作ることが可能です。
 
 では,一族の戸籍を集めるためには,どこの役所に行けばいいのでしょうか。

 戸籍は国ではなく,市区町村が管理しているため,市区町村で戸籍を取得する必要があります。
 しかし,どの市区町村でも戸籍を取得できるわけではなく,本籍地の市区町村でなければ戸籍を取得することはできません。

 
 また,戸籍は一生のうちで,複数個作成されることが多いです。
 たとえば,結婚をすれば,親の戸籍から抜けて,配偶者と新しい戸籍を作ることになります。
 また,法律が変われば,戸籍が新しく作成されます(たとえば,かつて戸籍は手書きで作られていましたが,今はパソコンで管理されています)
 
 そのため,人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て集めることは,非常に手間がかかる作業です。
 この「人が生まれてから亡くなるまでの戸籍」は,相続の手続きの時に必ず必要になります。
 

 ご家族が亡くなり,不動産の名義を変えたり,預貯金の解約をする場合,戸籍を集めるという作業が,多くの方にとって大変な負担になります。
 

 もし,戸籍を集めることが難しい場合は,一度弁護士にご相談ください。