所有権と占有権の違い

 所有権という言葉は、法律の世界でもよく出てきます。

 法律の世界の言葉は、日常的に使われている言葉と、意味が全然違うときがありますが、所有権という言葉については、日常用語で使われている意味と、あまり違いはありません。

 
  所有権を持っている人(所有者)は、その物を使ったり、貸したり、売ったりすることができます。

 つまり、その物を基本的に好きにできる権利のことを所有権と呼んでいます。


 他方、法律の世界では、占有権という言葉が出てきます。

 占有権という言葉は、あまり日常的に使われることはありませんが、どのような意味なのでしょうか。

 占有権とは、物を自分の支配下に置いている状況の事を指すというイメージです。


 たとえば、友達からボールペンを借りた場合を考えてみましょう。

 友達からボールペンを借りた場合、あくまで借りただけなので、そのボールペンの所有権は友達が持っています。


 他方、ボールペンを借りた人が、実際にそのボールペンを使って字を書いている時、そのボールペンは、借りた人の支配下にあると言えます。

 ボールペンを借りた人は、あくまで借りているだけなので、そのボールペンを勝手に誰かに売ったり、貸したりすることはできません。

 ボールペンを借りた人は、ボールペンを自分の支配下に置いていますが、自分の好きなようにボールペンを処分することはできないのです。

 

 もう1つ具体例を出します。

 社会人になって、マンションで一人暮らしをすることになった場合、そのマンションの所有権は、あくまで大家さんが持っています。

 他方、その家に住んでいる人は、その家を自分の支配下に置いているため、その家を占有権を持っています。

 マンションを借りた人は、その部屋を支配下に置いているため、自分以外の人が勝手にマンションの部屋に入ろうとしたら、追い出すことができます。

 
 しかし、マンションを借りた人は、マンションの所有者ではないため、マンションを売却したり、誰かに貸したりはできません。


 何となく、所有権と占有権の違いについては、イメージしていただけましたでしょうか。

 一言で言うなら、所有権は、「自分の物なんだから、どうしようと自分の勝手だ」という権利で、占有権は「一定の範囲で他人の所有物を利用することができる権利」というイメージです。


 所有権について、少しだけ補足しておきます。

 所有権は「自分の物なんだから、どうしようと自分の勝手だ」というイメージだとご説明しましたが、当然法律上の制限があります。

 たとえば、不要になった家電を、道端に捨てると不法投棄になってしまいます。

 
 また、人間のように、そもそも所有権の対象になり得ない存在もあります(厳密には、奴隷制度を認めていた時代は、人間を物と同じように扱うことが法的に可能でしたが、今の日本の法律では不可能です。)。


 今、自分が手にしている権利が所有権なのか、占有権なのかによって、どのような裁判をするのかも変わってきます。

 所有権や占有権を侵害された場合には、弁護士にご相談ください。

 

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権利能力なき社団とは何か

 法律系の本を読むと、権利能力なき社団という言葉を目にすることがあります。
 最初にこの言葉を見た時は、さっぱりイメージがつかない方も少なくありませんが、法律の勉強を進めていくと、何となく理解ができるようになります。

 新聞などにも権利能力なき社団が載ることがあるので、ここでは権利能力なき社団について、ご説明します。
 
 言葉を分解すると、「権利能力」が「ない」「社団」ということになりますが、そもそも権利能力という言葉が聞きなれないものだと思います。
 権利能力とは、何らかの権利を持つ資格や、義務を背負うことができる資格を指します。
 

 
たとえば、皆様がコンビニでジュースを買うことができるのは、お金という物を所有する権利を持ち、ジュースの売買契約をする権利を持ち、買ったジュースを所有する権利があるからです。

 他方、犬や猫は、どれだけ知能が高くとも、たとえ人の言葉を話すことができたとしても、コンビニでジュースを買うことはできません。

 その理由は、法律上、犬や猫は何らかの権利を持ったり、義務を背負うことが認められていないからです(そのため、日本の法律では、ペットに財産を相続させるということはできません。)。
 

 次に「社団」は、大雑把に言うと、何らかの目的を持って集まった人の集合体です。

 つまり、権利能力なき社団は、「何らかの権利を持ったり、義務を背負う資格がないものの、何らかの目的を持って集まった人の集合体」ということになります。
 
 言葉だけだと分かりにくいので、具体例で説明すると、たとえば大学のサークル、町内会、学問研究の団体などが考えられます。
 大学のサークルは、何らかの権利を持つことができないため、たとえばサークル名義で自動車を買ったり、不動産を買うことはできません。

 コンビニでジュースを買うことくらいはできても、あくまでそれはサークルのメンバーがコンビニと売買契約をしているだけということになります。
 
 
では、大学のサークルが、大学のサークル名義で物を買ったり、売ったりするには、どうすればいいのでしょうか。

 
その答えは、サークルを法人化してしまうことです。
 
法人は、法律上は人間と同じような扱いがされるため、権利や義務の主体になることができます。
 たとえば、会社は法人なので、法人名義で不動産を所有したり、会社の備品を発注することができます。
 
 権利能力なき社団を、法人化すると、様々なメリットがありますが、法人化の手続きは複雑です。
 法律上の複雑な問題は、弁護士にご相談ください。
 

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法律の善意と悪意の意味

 法律では、「善意」や「悪意」という言葉が出てくることがあります。
 たとえば、「善意の第三者」とか、「悪意の占有者」といった形で、法律の中に登場します。
 
 ここで、あえて「法律の中に登場します」と説明した理由は、もちろん日常用語の「善意・悪意」と、法律用語の「善意・悪意」は意味が異なるためです。
 
 まず、「善意」は、日常用語としては「相手のためを想って」といった意味で使われます。
 

他方、法律用語としての「善意」は、「知らない」という意味で使われます。

 
実際の法律の規定を見てみましょう。

 民法162条2項には、「10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」と記載されています。

 この規定は、他人の所有物を、ずっと占有し続ければ、その財産を自分の物にできることを定めた規定です。
 
 たとえば、他人の土地に家を建てた場合、家を建てた人は、その土地を占有していることになります。

 その占有状態を10年間続けると、その土地の所有権を取得することができます。
 
 ただし、いくつかの条件があり、その条件の一つに「善意」が入っています。
 善意は「知らない」という意味なので、ここでは「その土地が他人の土地だと知らなかった(自分の土地だと信じていた)」という意味で使われています。

 
 次に、「悪意」は、日常用語としては、「相手に害を与えてやろう」など、悪いイメージの言葉として使われます。

 
他方、法律用語としての「悪意」は、「知っている」という意味で使われます。

 
こちらも実際の法律の規定を見てみましょう。
 
民法704条には、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。」と規定されています。
 この規定は、本来得るべきでない利益を得た人は、その利益に利息をつけて返さなければならない旨を定めています。
 
 たとえば、間違って自分の口座に振り込まれた100万円を使ってしまった場合、その100万円に利息を付けて返さなければならないということです。
 この規定には、悪意の受益者という言葉が出てきますが、この言葉の意味は「自分に振り込まれた100万円が、間違って振り込まれたものであることを知っていた」ということになります。

 
 このように、法律用語としての「善意」や「悪意」は、日常用語とはかなり異なる意味を持っています。
 その他にも、法律用語と日常用語の意味が異なるものがありますので、勘違いしたまま話を進めると、思わぬ不利益を受ける可能性があります。

 そのため、法律のことでお困りの方は、弁護士に相談することが大切です。

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錯誤と詐欺の違い

 民法を学ぶと、錯誤や詐欺といったキーワードを知る機会があります。
 何となく言葉の意味は分かるものの、イメージがしずらいところではありますので、具体例を見つつ、解説をさせていただきます。
 
 錯誤は、大雑把なイメージで言うと、「思っていたことと違うことをしてしまった状態」を指します。
 言葉だけでは分かりずらいので、具体例を出します。

 
 たとえば、コンビニの店長がジュースの仕入れをする際に、発注書に「ジュース100本」と記載すべきところを、うっかり「ジュース1000本」と記載するようなケースです。

 この場合、コンビニの店長は、ジュース100本を買うつもりだったのに、間違って10倍の発注をしているため、「思っていたことと違うことをしてしまった」と言えます。
 
 1つだけではイメージがわかないので、もう一つ具体例を出します。

 たとえば、100円と100ドルが同じ価値だと勘違いして、100ドルで売られている食器を買う契約をした場合も、錯誤にあたります。

 このケースだと、「100円でこの食器を買おうと思ったけど、実際には100ドルの食器を買ってしまった」ということになります。
 
 他方、詐欺とは、「誰かに騙された結果、思っていたことと違うことをしてしまった状態」を指します。
 これも言葉だけでは分かりにくいので、具体例でみてみましょう。

 
 たとえば、悪徳業者から100万円で宝石を買ったものの、実はその宝石はガラス製の偽物だったような場合です。

 悪徳業者が偽物であると知って、その宝石を売りつけた場合、買主を騙しているわけですから、詐欺行為が存在します。
 その結果、買主は錯誤に陥り、「本物の宝石を買うつもりで、偽物の宝石を買った」ことになります。
 つまり、「騙された結果、思っていたことと違うことをしてしまった」ことになります。

 
 このように、錯誤と詐欺の一番大きな違いは、相手が騙す行為をしているかどうかという点にあります。

 端的に言えば、錯誤は「勝手に勘違いした場合」、詐欺は「相手に騙されて勘違いした場合」ということになります。
 
 では、錯誤や詐欺があった場合、一度交わした契約などはどうなるのでしょうか。

 この点は、錯誤や詐欺で違いはなく、どっちの場合でも契約を取り消すことができます。
 
 もっとも、どんな場合でも契約を取り消すことができるというわけではありません。
 たとえば、錯誤であれば、勘違いしたことに重大な過失がある場合は、契約を取り消すことができません。
 どういった場合に契約を取り消すことができるかについては、弁護士に相談することをお勧めします。

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遺留分の金銭債権化

 遺留分という制度をご存知でしょうか。
 遺留分は、相続人に認められた、最低限度の権利です。
 仮に、亡くなった方が遺言書で「全財産を長女に相続させる」といった記載をしたとしても、二女や三女は、法律の割合の半分までは自己の権利を主張できます。
 ただし、遺留分の権利は、子や孫などの直系の子孫、親や祖父母などの直系の祖先にのみ認められています。
 亡くなった方の兄弟姉妹や、甥姪には遺留分が認められていないため、注意が必要です。
 
 かつての制度では、遺留分の権利を行使すると、原則として遺産の全てに対して、少しずつ権利を主張できることになっていました。
 たとえば、相続人が長女と二女の2人で「全財産を長女に相続させる」という遺言書があった場合、二女は遺産の4分の1については、権利を主張できます。
 その結果、長女が取得した不動産について4分の1の権利を取得し、長女が取得した預貯金についても4分の1を取得するといったように、全ての遺産について4分の1ずつの権利を主張できるようになります。

 
 しかし、この制度はとても使い勝手が悪い制度であると批判をされていました。

 たとえば、たくさんの不動産を残して亡くなり、預金があまりないケースで、遺留分の権利を主張するとどうなるでしょうか。
 各不動産について、長女が4分の3の権利を取得し、二女が4分の1の権利を取得することになるため、協力して不動産を管理する必要があります。
 しかし、不平等な遺言書を残された長女と二女は、仲が悪いことが多く、不動産の管理をうまくできない可能性が高いです。

 
 他にも不都合なケースがあります。
 亡くなった経営者は、長男に会社を受け継がせたいと考え、株を長男に相続させたのに、二男が遺留分の権利を行使すると、二男が株の4分の1を取得することになります。
 そうなれば、経営権を巡って、長男と次男で争いが起きるかもしれません。
 
 こういった事態を解消するために、遺留分の権利は、「全部お金で解決する」という風に法律が変わりました。

 つまり、遺留分の権利を行使しても、直接遺産に対する権利は発生せず、多く遺産を受け取った人にお金を請求できる権利に変化したということになります。
 
 このように制度が変わったことで、遺留分の問題は、比較的解決が楽になりました。

 以前は、遺留分の権利を主張して、裁判等をし、その結果遺産の一部が共有物になった場合、その共有関係を解消するために、別の裁判をする必要があります。

 何度も裁判をすることで、解決まで何年もかかるケースがありましたが、相続法の改正によって、短期間で遺留分の問題を解決することができるようになりました。

 他にも、遺留分の制度は大きく変わった点があるため、遺留分について知りたい方は、弁護士にご相談ください。

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個人再生のメリット・デメリット

 「今ある借金を減額したいけど、せっかく購入した住宅は残したい」
 そういった方には、個人再生という手続きが適しているかもしれません。
 今回は、個人再生という制度のメリットとデメリットについて、ご説明します。
 
 個人再生という制度は、今ある借金を大幅に減額した上で、残った借金を3年から5年かけて、返済していくための制度です。
 
 この制度の最大のメリットは、住宅を残すことができるという点です。
 もし、自己破産をする場合は、せっかく購入した住宅を、売却しなければなりません。

 しかし、個人再生であれば、住宅を売却しなくてもよくなります。

 
 次に、個人再生を行えば、借金を5分の1から10分の1程度まで、減額することが可能です。
 仮に、600万円の借金を、5分の1に減額できた場合、借金を120万円まで圧縮することができます。

 つまり、借金が480万円減額されるため、借金の負担がとても軽くなります。

 
 また、個人再生では、借金の理由が問われないという点も、大きなメリットです。
 仮に、自己破産を行う場合、借金の理由によっては、借金の返済義務が消えない可能性があります(たとえば、ギャンブルが主な借金の理由だったようなケースです。)。
 そのため、たとえパチンコや、競馬などのギャンブルによって、借金を抱えていたとしても、個人再生であれば、問題なく、手続きを進めることができます。
 
 さらに、個人再生を行っても、資格の制限を受けません。
 仮に、自己破産を行う場合、警備員、生命保険募集人、税理士、弁護士など、一定の資格が制限され、制限中はその資格を使って、仕事をすることができません。

 しかし、個人再生は資格制限がないため、問題なく仕事を継続することができます。

 
 他方で、個人再生には、次のようなデメリットもあります。
 まず、個人再生は、あくまで借金の返済を継続していかなければならない手続きです。

 つまり、借金の負担が完全になくなるわけではなく、しかも今後も継続して収入を得られる予定の人しか、個人再生は利用できません。
 自己破産であれば、原則として借金の返済義務がなくなるため、ここだけを比較すれば、自己破産の方が有利と言えます。
 
 次に、個人再生は、全債権者を対象としなければならないため、ご家族に個人再生したことを知られてしまう可能性があります。

 たとえば、借金の中に、奨学金があって、ご親族が保証人になっている場合、ご親族に個人再生をした旨の通知が届きます。
 
 また、個人再生に限ったデメリットではありませんが、個人再生を行うと、信用情報機関に登録されます。

 その結果、一定期間はクレジットカードを作ったり、新たな借り入れをすることが、難しくなります。

 
 以上をまとめますと、個人再生は、住宅を失いたくない場合や、資格の制限を受けると困るようなケースで、非常に有効な債務整理の方法です。

 自己破産などの、他の制度とメリットやデメリットを比較しつつ、個人再生をするかどうかを選択することになります。

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任意整理のメリット・デメリット

 借金の返済を楽にする方法として、任意整理という方法があります。
 任意整理は、借金を大幅に減らすということは難しいですが、比較的短期間で手続きを終えることができたり、マイホームを手放すことなく、借金の負担を減らすことができるなど、様々なメリットがあります。
 そこで、今回は、任意整理のメリットと、デメリットについて、ご説明します。
 
 まず、任意整理とは、各債権者と話し合いをして、今ある借金を、3年から5年程度の分割払いにしてもらうことを目的とする手続きです。
 
 たとえば、200万円の借金がある場合に、5年の分割払いで借金を返すとした場合、毎月約3万3333円を返済すれば、借金を完済することができます。
 この任意整理の最大のポイントの一つは、将来の利息をカットできる可能性がある点です。
 
 つまり、先程の例で言えば、通常は毎月の3万3333円の返済に、利息分も上乗せして返済する必要があります。
 しかし、任意整理を行うと、多くの場合に、利息をカットしてもらえるため、毎月の返済が楽になります。
 
 次に、任意整理は、どの債権者と交渉するかを自由に選ぶことができます。
 そのため、たとえば住宅ローンについては、これまで通りに支払い、他の借金だけ任意整理をすれば、住宅を残したまま、毎月の返済を楽にすることができます。
 
 もし、自己破産を行う場合は、原則として住宅を売却し、借金の返済にあてなければならないため、住宅を残せるという点は、任意整理の大きなメリットと言えます。

 
 他方、任意整理のデメリットは、借金の大幅な減額はできないという点です。
 つまり、任意整理は、原則として、将来の利息はカットできることが多いですが、今ある借金の元本自体は減らすことができません。

 借金の返済義務を原則としてなくすことができる、自己破産と比べると、この点はデメリットということができます。
 
 また、任意整理は、毎月借金を返済していくことを前提とした制度であるため、今後も継続して収入が得られる状態でないと、任意整理は難しくなります。
 仮に、今は収入があっても、退職したり、減給によって借金を返済できなくなった場合は、自己破産を検討しなければならなくなります。
 
 さらに、任意整理を行うと、借金の完済後5年間程度は、新たにお金を借りたり、ローンを組むことが難しくなります。

 
 このように、任意整理は、メリットとデメリットがあり、他の債務整理の方法との関係で、どの手続きが適切なのかは、案件によって異なります。
 借金でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

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自己破産のメリット・デメリット

 自己破産という言葉に対して、あまりいい印象を持っていない方もいらっしゃいます。
 しかし、自己破産は、借金で苦しんでいる方にとっては、とても魅力的な制度です。
 また、自己破産をすると、戸籍にその旨が記載されるといった、誤った情報が出回っています。
 そこで、今回は、自己破産のメリットやデメリットについて、ご説明します。
 
 まず、自己破産の最大の魅力は、原則として借金の支払義務が免除されることです。
 また、弁護士に自己破産を依頼すれば、金融機関などから督促が来なくなります。
 
 他方、自己破産にも、一定のデメリットがあります。
 まず、信用情報機関に事故情報として、情報が記載されます。
 これにより、一定期間は、クレジットカードを作ったり、新しく借り入れをすることが難しくなります。
 ただし、せっかく借金がなくなった状態で、また借金を繰り返すことは、その人にとっても好ましいことではないため、強制的に借金をしないようにするという意味では、むしろメリットの一つといえるかもしれません。
 
 次に、高額な財産については、処分され、借金の返済にあてられます。
 たとえば、不動産を所有しているようなケースであれば、不動産を売却した上で、売却代金で借金の返済をすることになります。
 住宅ローンを組んで、持ち家に住んでいる方にとっては、住む場所を失うことになります。
 
 また、資格を使って業務をしている方は、一定期間資格が制限される場合があります。
 たとえば、宅地建物取引士、警備員、税理士などがあげられます。
 我々弁護士も、自己破産をした場合は、資格制限が課されます。
 もっとも、自己破産をして、免責決定が出た後は、資格が復活するため、それほど心配する必要はありません。
 
 他には、官報に自己破産したことが記載されるという点が、デメリットとしてあげられることがあります。
 しかし、官報を日常的に読んでいる人は、ほとんどいないため、官報によって、自己破産したことが知られる可能性は非常に低いと言えます。
 
 いくつか自己破産のデメリットと言われるものをあげましたが、借金の返済義務がなくなるというメリットと比較して、自己破産をするかどうかを選択することになります。
 
 最後に、自己破産に関する、都市伝説的な情報の真偽についてご説明します。
 
 まず、自己破産をすると、戸籍や住民票に、自己破産したことが記載されるという情報ですが、これは完全に誤りです。
 戸籍や住民票に、自己破産したことが記載されることはありません。
 
 次に、自己破産をすると、生活保護や、年金をもらえなくなるという情報も見かけますが、そんなことはありません。
 生活保護や年金は、自己破産と何の関係もありません。
 
 また、自己破産をすると選挙権を失うと言われることもありますが、これもデマです。

 
 以上でご説明したとおり、自己破産は借金で苦しむ方が、経済的な再スタートをするために、とても有効な方法です。

 借金でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

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債務整理の種類

 債務整理は,借金の負担を減らすための手続きの総称です。
 何らかの理由で,借金を返すことが難しくなった場合,経済的に再スタートするためには,何らかの方法で借金を減らす必要があります。
 そのための手続きが,債務整理です。
 借金を返せなくなった場合は,債務整理を検討すべきですが,どの手続きが適切なのかは,案件によって異なります。
 
 そこで,債務整理の各種手続きの特徴を簡単にご説明いたします。
 まず,任意整理という手続きがあります。
 
 任意整理は,各債権者と話し合って,利息をカットしてもらったり,長期の分割払いにして,返済を楽にすることを目標とする手続きです。
 各債権者との個別の話し合いであるため,裁判所が関与することはありません。
 そのため,一部の債権者にだけは支払いを続け,他の債権者と任意整理を行うといった,柔軟な扱いが可能です。
 裁判所の関与がないため,手続きは比較的簡易ですが,大幅な借金の減額は難しいことが多いと言えます。
 
 次に,自己破産という手続きがあります。
 自己破産をすれば,原則として借金の支払いを免除してもらうことができるため,借金の負担が一気になくなります。
 もっとも,自己破産は債権者から見ると,貸したお金が返ってこないという不利益が発生するため,自己破産ができるかどうかは,裁判所が審査することになります。
 裁判所には,借金が増えた経緯や,現在の財産の状況などを,丁寧に説明する必要があります。
 
 さらに,個人再生という手続きがあります。
 個人再生は,借金を大幅に減額した上で,残った借金を分割払いにする制度です。
 
 任意整理より借金の額を減らすことができるものの,自己破産のように全ての借金の支払いが免除されるわけではありません。
 つまり,個人再生は,任意整理と,破産手続きの中間的な位置にあるような手続きです。
 個人再生のメリットは,自宅をお持ちの方などが,自宅を失わずに,借金の負担を減らすことができる点です。
 
 仮に,自己破産をする場合は,自宅は原則として処分し,借金の返済に充てなければなりません。
 つまり,残したい財産がある場合は,自己破産より,個人再生の方が向いていると言えます。
 
 個人再生も,自己破産と同じく,裁判所の関与の基で,審理が行われます。

 
 最後に,債務整理とはやや異なりますが,過払い金の返還請求というものもあります。
 過払い金とは,払い過ぎた利息のことを指します。
 
 一定以上前の債務については,過払い金が発生する可能性があります。

 
 以上,簡単に債務整理について,ご説明しましたが,それぞれの手続きごとにメリットやデメリットが異なります。
 借金の返済でお悩みの方は,弁護士にご相談ください。

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相続税を安くするための特例

 相続発生後は,相続税のことも気にしておく必要があります。
 もし,相続税申告が必要なのに,相続税申告をしなかった場合,より重い税金が課せられてしまう可能性があるためです。
 
 また,相続税を軽減するための特例を知っておくと,余分な税金を納めなくてよくなるため,ここでは,相続税を軽減する特例をご紹介します。
 まず,もっとも相続税を軽減する効果が高いのは,配偶者の税額軽減です。
 
 たとえば,夫が亡くなった後に,妻が相続をするような場合,1億6000万円まで,相続税がかかりません。
 つまり,妻が相続した遺産が1億6000万円以下であれば,相続税が0円になります。
 また,仮に1億6000万円より多い遺産を相続しても,法定相続分までは相続税がかかりません。
 
 たとえば,夫が亡くなり,妻と2人の子が相続人の場合で,遺産総額が5億円のケースを考えます。

 このケースであれば,妻が相続した遺産が2億5000万円以下であれば,相続税は0円になります。
 このように,配偶者の税額軽減は,税金を抑えるためには,非常に強力な制度です。
 
 次に,小規模宅地の特例があります。
 小規模宅地の特例は,遺族が生活に必要な土地を相続した場合に,相続税を軽減するための制度です。
 
 小規模宅地の特例を使えば,土地にかかる税金を最大で8割軽減することができます。
 たとえば,亡くなった方の自宅であれば,敷地のうち,330平方メートルまでについて,税額を8割軽減できます。
 つまり,土地が本来1000万円の価値がある場合,その1000万円に対して税金がかかりますが,小規模宅地の特例を使った場合,その土地は200万円と評価され,その200万円に対して税金がかかります。
 
 また,ご自宅で商売を行っていた場合は,その敷地のうち,400平方メートルまで,税額を8割軽減できます。
 他にも,お店や工場の敷地についても,小規模宅地の特例を使うことができます。
 
 他方,誰かに貸している不動産については,敷地のうち200平方メートルまでは,税額を5割軽減できます。

 
 土地は,遺産の中でも高額な財産であることが多いため,小規模宅地の特例も,非常に税の軽減効果が高い制度です。
 もっとも,小規模宅地の特例を使うためには,いくつかの条件があります。
 
 たとえば,その土地を相続する人が,決まっている必要があります。
 そのため,遺産分割でもめているようなケースでは,小規模宅地の特例は使うことができません。

 他にも,土地を相続する人が一定範囲の親族である必要があるなど,細かい条件があります。
 
 以上のように,相続税を軽減するための制度は,使いようによっては大きく税金を軽減できます。
 相続税について,気になっている方は,相続や相続税に詳しい弁護士にご相談ください。

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