相続と不動産鑑定

 相続分野を扱っていると、「遺産の不動産をどうするか」、という問題に直面することが多々あります。

 特に、不動産を何円の財産と評価するのかで、相続人同士がヒートアップすることも少なくありません。

 それでは、不動産の値段は、どうやって決まるのでしょうか。

 実は、不動産について、「これで絶対値段が決まる」という算定方法があるわけではありません。

 全く同じ不動産、というものは存在しないため、個々の不動産の個性に注目しながら、不動産の評価額を決めていくことになります。

ただ、弁護士であっても、不動産の評価に詳しいとは限らないため、不動産会社や不動産鑑定士に評価の決め方を委ねてしまう場合もあるかもしれません。

 しかし、たとえば相手方の弁護士が出してきた不動産の査定書や鑑定書が、妥当なものなのかどうかは、弁護士が責任を持って判断しなければなりません。

 私も、日々不動産の評価方法は研究していますので、今日は不動産の評価の方法について、簡単にご説明します。

1 不動産評価の方法

 不動産の評価の方法は、大きく分けて3種類あります。

 1つは、原価方式という方法で、「その不動産を再調達しようと思ったとき、どれくらい費用が必要か」とい   う点に着目した方法です。

 2つ目は、比較方式という方法で、周辺の不動産取引の相場から、不動産の価格を決めていく方法です。

 3つ目は、収益方式という方法で、不動産が生み出す利益に注目して、不動産の価格を決める方法です。

2 どの方法が適切なのか

 理論的には、どれも正しいですが、それぞれに適した場面、適していない場面というものがあります。

 そのため、実際の不動産鑑定の際は、3つの手法を掛け合わせて、不動産の鑑定を行います。

 たとえば、一軒家を所有し、誰かに貸し出している場合は、その一軒家は収益を生んでいるので、収益方式で鑑定しやすい物件と言えます。

 他方、その物件の賃料が、何世代も前から変わっていなくて、相場より異常に安い場合は、収益方式のみだと、適正な評価額が出ないこともあります。

3 不動産会社が用いる方法

 不動産会社で、不動産の売買価格の査定を行う場合があります。

 通常、不動産会社は、比較方式を採用し、周辺の同じような条件の物件が、どれくらいの価格で売れたのかということを重視して、査定を行います。

 もっとも、不動産会社の査定システムは、不動産鑑定士が行う鑑定とは異なり、そこそこアバウトな面もあります。

 そのため、不動産会社が作成した査定書については、その数字が正しいのか、慎重な検討が必要です。

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相続で問題になりやすい不動産

 一般的に、収益を生み出しているような不動産であれば、不動産としての価値は高いかもしれません。

 しかし、いざ相続の場面になれば、そのような価値の高い不動産を巡って、争いが起きやすくなります。

 また、田んぼ、畑、山林など、売却が難しく、誰も欲しがらないような不動産については、押し付け合いがおきやすくなります。

 もし、遺産の中に、相続で問題になりやすい不動産がある場合は、不動産の分け方について、弁護士の見解を聞いてみることも大切です。