相続法改正で配偶者の保護が厚くなりました

 相続法が改正され,相続人の中でも,配偶者が厚く保護されるようになりました。
 

 その具体例の一つとして,持戻し免除の意思表示の推定規定が設けられました。
 難しい言葉が続いてしまったので,具体例を交えてご説明いたします。

 

 たとえば,夫が名古屋に3000万円の価値がある土地と建物を所有していましたが,長年連れ添った妻に名古屋の土地と建物を贈与しました。

 その後,夫は5000万円の預金を残して亡くなり,妻と長男と次男で遺産を分けることになりました。

 

 この場合,妻が生前に贈与を受けた土地と建物は,特別受益に該当し,遺産の一部を先に妻がもらったと考えます。
 そのため,夫が残した遺産は,名古屋の3000万円の土地と建物,及び,預金5000万円を合わせた8000万円となります。
 
 これを法律どおりに分けると,妻が4000万円,長男と次男が2000万円ずつ相続することになります。

 ただ,妻はすでに3000万円分の生前贈与を受けているので,預金については1000万円しかもらうことができません。

 

 しかし,仮に夫が「妻に土地と建物を渡すが,これは遺産の一部を先に渡したわけではない」と意思表示をしていれば,3000万円の土地と建物については,遺産の一部とは考えません。

 このような意思表示を,特別受益の持戻し免除の意思表示といいます。
 
 特別受益の持戻し免除の意思表示をすると,先程の例では,遺産は預金5000万円のみであり,これを妻,長男,次男の3名で分け合うことになります。
 その結果,妻は2500万円,長男と次男は1250万円ずつ相続することになります。
 つまり,妻の遺産の取り分が大幅に増えることになります。
 
 もっとも,持戻しの免除の意思表示といった難しい制度を知っている方は少なく,そのような意思表示を行う方はあまりいないのが現状です。

 そこで,妻に対して居住用の家や土地を贈与した場合は,持戻し免除の意思表示があったと推定するという法律が新たに創設されました。

 

 持戻し免除の意思表示が推定されるためには,20年以上婚姻関係を継続している夫婦であることが必要です。
 

 他にも,どのような不動産の贈与ならオッケーなのか,いつ行った贈与でもいいのかなど,持戻し免除の意思表示の推定規定を使うためには,知っておくべき知識がたくさんあります。

 今までに夫婦間で不動産の贈与をされた方や,これから贈与を行う予定の方は,一度弁護士にご相談ください。