遺言書作成のポイント②

 今までは,遺言書は全て手書きで書かなければならないとされていました。
 しかし,相続法が改正され,手書きをしなくていい部分が認められました。
 具体的には,財産の特定に必要な事項については,手書きでなくても有効な遺言書として認められます。

 たとえば,名古屋の土地を特定の人に相続させたい場合は,登記事項証明書(登記簿)の写しを遺言書に添付すればよいことになります。

 また,特定の人に預貯金を相続させたい場合は,通帳のコピーを遺言書に添付すれば,遺産の特定としては十分です。
 ただし,財産に関する書類のコピーを添付すれば,それでいいというわけではありません。
 財産に関する書類のコピーには,必ず署名と押印が必要です。
 コピーが数枚ある場合は,そのすべてに署名と押印が必要で,両面コピーの場合は両面に署名と押印が必要なので注意が必要です。
 財産に関する書類について,上記では登記事項証明書(登記簿)や通帳のコピーを例にあげましたが,既存の資料をコピーする必要はありません。

 たとえば,パソコンで財産の目録を作って,プリントアウトしたものを遺言書に添付することもできます。
 ただし,あくまで書面である必要があるので,パソコンの中にデータが入っているだけでは,有効な財産目録とは認められません。

 また,ICレコーダーやスマホで録音した音声データも書面ではないため,そのデータが入ったCDやUSBを遺言書と一緒に封筒に入れていても,遺産目録とは認められないため,注意が必要です。

  
遺言書と直接関係がないことですが,私が所属する事務所のホームページの写真が新しくなりましたので,よろしければこちらからご覧ください。

遺言書作成のポイント①

 遺言書は,残された家族への最後のお手紙です。
 残された家族が,自分の遺産を巡って裁判沙汰になってしまうというのは,とても悲しいことですから,それを防ぐためには遺言書を書いておくことが必要です。
 

 遺言にはいくつか種類がありますが,ここでは遺言者が自分で書く遺言(自筆証書遺言)についてポイントをご説明します。

 自筆証書遺言を作成する場合,用紙の決まりはありません。

 そのため,高級な用紙を使用してもよいですし,大学ノートやメモ用紙に書いても問題ありません。
 

 また,筆記用具についても指定はないので,ボールペン,万年筆,鉛筆など,どのような筆記用具を使っても大丈夫です。
 ただし,鉛筆のような後で消すことができる筆記用具を使うと,後で書き換えられてしまう可能性があるため,消しゴムなどで消せない筆記用具を使うことをお勧めします。
 また,自筆証書遺言は原則として全て手書きで作成する必要があるため,パソコンで作った遺言書は無効になってしまうので,注意が必要です。
 

 次に,書くべき内容ですが,日付,氏名,遺言書の内容を記載した上で,印鑑を押す必要があります。
 日付は,その日が特定できればいいので,西暦でも和暦でも大丈夫です。

 

 印鑑については,実印,認印はもちろん,拇印でもよいとされています。

 

 もっとも,たとえば日付について「60歳の誕生日」と記載したり,氏名をニックネームで書いたりした場合はどうなるでしょうか。
 遺言書作成には細かいルールがたくさんありますので,気になる方は一度弁護士に相談することをお勧めします。