民法を学ぶと、錯誤や詐欺といったキーワードを知る機会があります。
何となく言葉の意味は分かるものの、イメージがしずらいところではありますので、具体例を見つつ、解説をさせていただきます。
錯誤は、大雑把なイメージで言うと、「思っていたことと違うことをしてしまった状態」を指します。
言葉だけでは分かりずらいので、具体例を出します。
たとえば、コンビニの店長がジュースの仕入れをする際に、発注書に「ジュース100本」と記載すべきところを、うっかり「ジュース1000本」と記載するようなケースです。
この場合、コンビニの店長は、ジュース100本を買うつもりだったのに、間違って10倍の発注をしているため、「思っていたことと違うことをしてしまった」と言えます。
1つだけではイメージがわかないので、もう一つ具体例を出します。
たとえば、100円と100ドルが同じ価値だと勘違いして、100ドルで売られている食器を買う契約をした場合も、錯誤にあたります。
このケースだと、「100円でこの食器を買おうと思ったけど、実際には100ドルの食器を買ってしまった」ということになります。
他方、詐欺とは、「誰かに騙された結果、思っていたことと違うことをしてしまった状態」を指します。
これも言葉だけでは分かりにくいので、具体例でみてみましょう。
たとえば、悪徳業者から100万円で宝石を買ったものの、実はその宝石はガラス製の偽物だったような場合です。
悪徳業者が偽物であると知って、その宝石を売りつけた場合、買主を騙しているわけですから、詐欺行為が存在します。
その結果、買主は錯誤に陥り、「本物の宝石を買うつもりで、偽物の宝石を買った」ことになります。
つまり、「騙された結果、思っていたことと違うことをしてしまった」ことになります。
このように、錯誤と詐欺の一番大きな違いは、相手が騙す行為をしているかどうかという点にあります。
端的に言えば、錯誤は「勝手に勘違いした場合」、詐欺は「相手に騙されて勘違いした場合」ということになります。
では、錯誤や詐欺があった場合、一度交わした契約などはどうなるのでしょうか。
この点は、錯誤や詐欺で違いはなく、どっちの場合でも契約を取り消すことができます。
もっとも、どんな場合でも契約を取り消すことができるというわけではありません。
たとえば、錯誤であれば、勘違いしたことに重大な過失がある場合は、契約を取り消すことができません。
どういった場合に契約を取り消すことができるかについては、弁護士に相談することをお勧めします。